ぐったりしていて遅くなりました。
今さらでございますが、皆様コミケお疲れさまでした。
前々日辺りから翌々日辺りまで、人と会う機会が非常に多かったです。
やはりヒキコモリにはこういった治療は必要ですね。まあ、副作用というか揺り戻しみたいな感じで、今すごくぐったりしてるんですけど。
新しい出会いを提供してくれた方々には感謝を。
そして、普段触れない価値観に触れさせて頂いたことに感謝を。
当日も、あらきさん深水さんのスペースに私を訪ねて来てくださった方が居たみたいで、誠にありがとうございます。居ない時間帯が長くてすいません。
動き回って挨拶した方がいいのか、動かずにいる方がいいのか、これは悩みどころです。
アンドリューが痩せてハンサムになってた! びっくりした!
引きこもっていると「とっくに全てから見捨てられているに違いない」などといったマイナスの思考に陥りがちなのですけど、目を掛けていてくれる人がまだまだいるんだなと思わせてもらえるようなイベントでした。
まあ、その多寡についてはこの際考えないようにします。書くと虚しくなる。
冬は一応今のところ、小説本を作ってみようかなと思っています。
内容は未定ですけど、左脳偏重型の文章構成から抜け出したいと考える今日この頃。
2009年08月05日
蘇州&東シナ海、皆既日食旅日記
結果的に観られなかったわけですが、旅はそれなりに楽しめたので旅行記をUPしようと思います。
7月19日
天気、曇のち晴れ。
6時頃、自宅を出発。
下関港の出航は16時なので明らかに早いんだけど、間に合わなかったら大変だということで、ツアー会社の用意した便が9:10羽田発というシロモノ。
浜松町から東京モノレール。初めて乗ったかもしれない。
羽田を最後に利用したのはたしか9年ほど前だから。あの頃モノレールってあったっけ。
そんなわけでスターフライヤーなる航空会社の便にて北九州空港へ。
知らない会社だった。路線限定なのね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%BC
乗った飛行機
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飛行機に乗ること自体も9年ぶりなので、こんな光景も9年ぶり。
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北九州空港は海の上にある空港でした。北九州空港のくせに、行橋市の沖にあるという。
人工島の部分だけ北九州市。
空港からバスで下関港へ。関門橋を渡る。
子供の頃、神戸(出身地)から鹿児島(母の実家)に夏休みのたびに行っていた自分にしては、懐かしい光景。
12時、下関港に到着して乗船券などが配られる。
船の出航は16時。
「15時45分までテキトーに時間を潰してきてください。荷物の預かりはありません」とのこと。下関の街で少し遊ぶことにしました。
港にはコインロッカーすらない。下関駅まではデッキで繋がってたから、大荷物の人たちは駅のコインロッカーでも使ったのかな。私はリュック一つだから、担いだままウロウロしてたんですけど。
ダイエーのレストラン街で昼飯を食った後、本屋や電器屋をウロウロ。
地方都市に行ったときには、中高生の会話に聞き耳を立てて方言を観察するのが趣味なんですが、今回の下関は特徴的な訛りはありませんでした。鹿児島の凄まじさに慣れてるせいだろうか。
まだ時間があるので、ちょっと離れたラウンドワンまで歩く。
船の中で万札が使いづらいかなと思ったので、ここで両替しておくことにしました。
で、一万円札を入れたものの、出てきたのは100円玉が10枚。それだけ。
なんで釣り札が出ないんだろう、もしかして一万円札だと思って入れたのは千円札だったのかな? じゃあ今度こそ一万円札を…と思って財布を覗くとやっぱり万札が足りない。
両替機の表示を見ると「中止」になってる。あーもしかしてこれはトラブルというやつか。
店員に事情を話してみたところ「両替機の鍵を持っているのが店長だけで、店長の出勤が16時」とのこと。時刻は15時20分。
船の出航時刻とか集合時刻を考えると待てないので、住所と電話番号を教えてその場を去りました。
そんなわけで再び下関港。
ここからは蘇州だけじゃなくて釜山や青島への航路もあるようで。
近くの人は韓国旅行に行くときにも飛行機じゃなくてこっちを使うのかも。
税関は余裕の通過。日本人だし、出る人間なんて大したチェックはしないよね。
これまで何度も海外旅行のチャンスはあったものの、事情でその全てをフイにしてきた自分、ようやくパスポートに初めてのハンコが押されました。何となく感慨深い。
船に案内される途中の行列に居るときに携帯が鳴る。
「ラウンドワン下関店でございます…」「惜しい! さっき税関出ちゃったところ!」
やっぱり9千円が両替機の中で詰まってたらしい。いや、危ない危ない。「千円札入れたんだな」なんて勘違いをしたまま放置して帰ってたら9千円丸損するところだった。
私の帰宅後に現金書留で送ってくれることになりました。現金書留って面倒な上に料金高いよね。機械がトラブったら思わぬ形の手間や出費が生じるんだなと少し気の毒に。
税関から広い港の中をマイクロバスで移動し、無事に乗船。
なんか船内は豪華な感じ。フロントでメインの案内をしてくれた兄さんは日本語堪能な中国人でイケメンだった。
そういや昔は、中国はオリンピック選手もまず顔で選ぶって噂があったような。ブサメンを排除してもまだまだ人が多いから、その中で選んでも優秀なヤツがいくらでも居るという理屈で。全く絶望的になる話です。
そんなこんなで無事出航。
関門海峡
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船首側デッキ。こちらは立入禁止
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脇を過ぎていった不審な船
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何積んでるの? そのブロックみたいなものの下に何があるの?
何となく北朝鮮の不審船を思い出した。
外洋に出ると空が晴れてきた。
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波も穏やかで潮風が気持ちいい。
船尾側デッキ。
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日食の観賞場所はここ。
1メートル四方の枠が各々に用意されていて(一人一枠)、テープで印が付けられてる。
どこが当たるかは、帰りの船に乗る前に教えてもらえるそうです。
軌跡
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船の場合も軌跡って言うんだっけ? 日本語ムズカシイ。
船内に戻って色々と見て回ることに。
船という閉鎖空間だから、物は高いんだろうなと漠然と覚悟していたのですけど、さほどでもない。ジュースの値段も同じだし。
タバコが安い!
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タバコ税がないからだ! パナマ船籍だもんね。
まあ、吸わないから関係ないけど。
ビールも安い!
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酒税がないからだ!
まあ、そこまで飲まないし、結局自販機では買わなかったんだけど。
ちなみに食事時に注文できる青島ビールは、大瓶1本200円。こっちは飲んだ。美味。
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カップ麺は高い。自販機の受け入れは日本円なのに、品名はなぜか中国語表記。
食事はバイキング形式。ただ、乗ってる人数が多いだけに次々と人が来るのでのんびり選んでられない。
流れ作業的に素早く欲しいおかずを判断して皿に素早く盛っていく作業という感じ。
それでも調子に乗って食べ過ぎた。
7つの班に分かれて15分おきに食堂へ呼ぶという感じなものだから、厨房は大忙し。
夕陽がきれい
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お風呂も割と広くて快適。足を伸ばせる風呂に入ったのはいつ以来だろう。
ヒキコモリの治療にはこういう環境はすごく良いのかもしれない。定期的に銭湯にでも行くべきかな。
相撲の結果を知りたいと思ったけどワンセグはもうダメ。ラジオはAMは全滅、FMで韓国語の放送が入る。だいぶ沖まで来たみたい。
夜の放送で中国時間へ時計を合わせる旨。時差は1時間。
あんなに広いくせに標準時が1個しかないんだよね。さすが独裁国家。
東経120度ってことは、中国の東部都市部のことしか考えてないよね。満州の夜明けはめっちゃ早くて、ウイグルなんかは時刻は深夜でも日が沈んでないということになるんだろうか。
寝台に戻ってきたところで、対面の寝台の人と少し会話。50手前ぐらいのおじさん。
天球儀ソフト入りのGPSだとか、双眼鏡に三脚にと、かなりの気合入りっぷり。
ただ「見たい」で来てしまった自分がちょっと矮小な存在に感じられてしまう。
乗客はだいたい、おじさんみたいな筋金入り天文マニアが1割強、私みたいな「安いし天文も好きだしこんな機会だから見なきゃ!」ぐらいの人が4〜5割、蘇州観光も皆既日食も両方楽しもうという旅行気分の人(家族連れに多い)が残りの4割程度、という感じでした。
少し揺れが強くなってきたので、さっさと寝てしまおうと思い就寝。
7月20日
天気、曇のち晴れ。
未明に目が覚める。時計を見たらまだ前日の23時。
もう一度寝る。また目が覚める。時計を見たら2時。
もう一度寝る。また目が覚める。時計を見たら4時。
なんでこんなに中途覚醒するのかなと思ったら、船が大きく揺れてる。
前後左右だけじゃなくて上下にもかなり揺れる。
こんだけ揺れたらもしかして…と思った途端に酔った。
どうやら揺れだけでなくて気分の悪さでも目が覚めていたみたい。
外洋のうねりというのはやっぱり国内のフェリーなんかとは段違いだなあと。
一昨年に仕立て船で釣りに行ったときは、揺れる船上で釣りの仕掛けを作ったりしてても酔わなかったのに。
トイレに行って、とりあえず軽く吐くとだいぶ良くなった。
備えあれば憂いなし。出発前に買っておいた酔い止め薬を服用。
http://store.shopping.yahoo.co.jp/soukai/4987241103577.html
出番が来るとは思わなかったけど、持ってきていてよかった。
もう眠る気にはならないので、テレビを置いているラウンジに行ってだらーりと。
飲み物を買おうと自販機ルーム(喫煙室を兼ねてる)に行ったら、何だか人がいっぱい。
みんな結構ぐったりしてる。普段酔わない私ですら酔ってるわけだから、そりゃ酔う人多いわ。
喫煙所で電子タバコを吸っている人を見かけた。あれってホント、ぱっと見には見分けがつかないね。
薬が効いてきたのか、どうにか食事を摂る意欲を取り戻して、軽く朝食。
ここで気がついた。自分の寝てる船室はものすごく揺れるのに、食堂やテレビラウンジはさほど揺れない。
特に、上下の揺れが少ない。
気がついてしまえば簡単なことなんだけど、私のあてがわれた部屋は端っこ、船首に一番近いところで、しかも私のベッドは一番隅っこ。
船は重心を支点にして揺れるわけだから、当然ながらそんな場所だと揺れがでかいわけだ。
船の中央近くにあるテレビラウンジは上下にあんまり揺れないというわけ。
そんなわけで、ボケーッとテレビを見ながらしばらく過ごすことにしました。
中国の衛星放送が映されてた。バラエティのチャンネルっぽい。
ちょうどドラゴンボールZをやってた。字幕があるのになぜか吹き替え。たぶん、字幕版が先で、吹き替え版を作るときに字幕なし版を改めて入れるのが面倒だったんだろう。
よりにもよって「恐るべしサイバイマン ヤムチャ死す」の回だった。まさか中国語でDBの神回が見られるとは。
声優さんは割と上手だったと思う。ただ、声がちゃんと似てたのはクリリンぐらいかな。ベジータはかなり違う声だった。
英語版なんかだとかなり似せてるという話だけど。中国語圏の声オタはそんなに五月蠅くないのかもしれない。
中国語で「おい、汚いから片付けておけよ。そのボロクズを」もばっちり聞いた。聞き取れてないけど。内容を覚えているもんだから割と楽しい。
昼前までそんな感じで過ごしているとだいぶ気分がマシになってきた。
天気も回復したようなので外に出てみる。
陸地が全く見えない広い海。強い日差し。強い潮風。外洋なんだなあと実感。
「日食グラス」を使って太陽を見てみる。
黒点がほとんどない。極小期だからね。明後日もこれぐらい晴れるといいなと思う。
14時
ミニ中国語講座を最上階の大ホールでやるということなので行ってみる。
この部屋、全然揺れない。ていうかこの階自体もなんか下との間にクッションでも入ってるのか、揺れが少ない。
すぐ脇にスイートルームがあるんだよね。貧乏人は下の階で嘔吐して、スイートな方々は揺れない船室で優雅に惰眠をむさぼるというわけですか。
中国語講座の講師は、フロントでいつも案内をしてる例のイケメン。
「中国語はそんなに難しくないんです」という導入から始まったけど、もしそれが本当なら、私の後輩は中国語の単位のせいで2度留年なんてしてないはずです。
内容は、まあなんというか、数詞と挨拶の発音ぐらいですね。
麻雀がしたくなるような内容でした。
で、質問タイム。
観光先で土産物売りがしつこかったら厄介だなと思って
ハ,,ハ
( ゚ω゚ ) お断りします
/ \
((⊂ ) ノ\つ))
(_⌒ヽ
ヽ ヘ }
ε≡Ξ ノノ `J
って何と言いますか?
と聞いてみた。「不要(ブーヤオ)」だそうです。
「お断りします」のポーズに気付いた2chねらーが居たかどうかは不明。
そんなこんなで夕方
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陸地が近いのか、船影が多くなってきた。
水が汚い。
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もうもしかして汽水? というか長江の中に入ってる?
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あ、着いちゃった。
名目上の到着は明日の朝だから、ほとんど停船した状態で夜を明かす予定だそう。
これで揺れる心配はほとんど無いので、安心して夕食では青島ビール(大瓶1本200円)を飲むことに。まあ、自分のアルコール分解能力的に1本しか飲めないんだけど。
20時半頃
船室に戻って、眠気がくるまで本でも読んでようかなと思ったら、いきなり鼻血がドバー。飲むと粘膜が弱るから時々やるんだよなあ。
ティッシュを染めつつ、床に撒き散らした血痕を拭き取る作業。
大部屋じゃなくて寝台にしておいてよかった。
21時頃
同室の人たちが戻ってくる。
若い天文マニアのお兄さんと、対面のおじさんによる望遠鏡談義が始まる。
やばい俺、全然ついていけてない。
おじさんは口径38センチの望遠鏡を持っているらしい。
38ミリじゃないよ、38センチだよ。その望遠鏡はもはや一種の「施設」なのでは。
「唯一の趣味だからねえ」とのこと。すごいぜ。
ちなみにおじさんは皆既日食を一度体験済。前回はメキシコで見たらしい。
印象的だった天文現象として他に
「百武彗星の接近」(この時の私は確か小学生か中学生。望遠鏡の視野に入れることすらできなかった)
「しし座流星雨」(2001年。私は兄夫婦を誘って飯能の山奥に行って観た)
を挙げていたけど、やっぱり一番は皆既日食だとのこと。
うあああ、めっさ楽しみになってきた。
蘇州とかどうでもいいよ。もうこのまま出航してくれよ。と思いつつ寝る。
7月21日
天気、快晴
今日こんなに晴れても仕方ないって。明日晴れてくれないと。
っていうぐらい気持ちの良い快晴。
到着した港は太倉というところ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E5%80%89%E5%B8%82
蘇州市の下にさらに複数「市」があって、その中の一つが大倉市。
倉がつくだけあって、見事にコンテナだらけ。国の倉庫と呼ばれているそうな。
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朝飯食って下船。
いよいよ中国へ入国です。
検疫では、バーコード読みとり機みたいなのを持ったお姉さん2人組が待ってて、そこに並んでピッってやってもらう。
んで、異常がなければ通過。何か異常があれば検疫官の待つ別室へ、という流れ。
半分ぐらい引っかかってるし!
私も引っかかったし!
どうも、2台のうち片方の機械の設定がおかしかったらしい。
大量に仕事を回された検疫官がすっげー不機嫌。
別室の前に椅子に座ってしばし待つ。
「Next!」と呼ばれ、ああ英語だよかった、中国語だったら手も足も出ないところだった。と安心しつつ検疫官の居る部屋へ。
「Excuse me」「Sit down」
sir(さん)をつけろよデコスケ野郎と思いながら体温を計る。
「Headache? Cough?」「Nothing」やっぱりアジア訛りってのがあるのかな。聞き取りやすくてホッとする英語だなあ。
「(ちょっと考えて)ビークン?」「(ん? 何つった今?)Pardon?」
「ビークン!」言いつつ紙に書く。「病気」
俺、苦笑しつつ「Nothing」
話してる途中で英語からいきなり中国語になるなっつーの。いや、気持ちは分かるけど。
漢字でコミュニケーションが出来ることのありがたみが分かった気がする。韓国政府が国策で放棄した漢字のコミュ力。
結局平熱で解放されたけど、何故か住所を書かされた。何の意味があったんだろう。
まあ、面白い体験でした。
太倉港の検疫、というか観光客受け入れ態勢は全体的に慣れていない印象を受けた。
そりゃそうだよなあ。だって普通みんな飛行機で来るもん。
日食の船上ツアーなんてものがない限り、こんな大量の日本人が来ることなんて滅多にないだろうし。
太倉から蘇州の観光地までは高速(制限速度・120km/h)で1時間半程度。
中国は左ハンドルの右側通行です。左側通行の国って日本とイギリス以外にどこがあるんだろ?
バスも立派だし
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ガイドも愛想良くて日本語ペラペラで質が良かったなあ。
来年は上海万博もあるしね。蘇州みたいな観光都市は外人に受けるように必死の努力がなされてるんだろうなあ。
しかし悪いが我々の興味は観光都市ではなく帰りの海上なのです。
だって寺とか墓とか行っても、そんなの京都に比べたら…ねえ。
文化大革命でお寺も色々あったらしいし。まあ、ポタラ宮とかは別格だけどさ。
あ、太倉が鄭和の出身地だという話だけは「おお、あの鄭和の!」という風に感心した。
車内で5000円→340人民元という両替をしてくれた。割と良心的なレート、というか銀行よりも良いレートのような気がする。
再両替はナシという取り決めなので、340元も使い切る自信がなかったので私はやめときました。
どうせ大した土産物なんて買えないだろうし。
途中、陽澄湖SAでトイレ休憩。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%BD%E6%BE%84%E6%B9%96
陽澄湖は上海ガニの産地だそうです。蘇州なのに。
まあ、「六甲のおいしい水」が六甲山系から程遠い西区の井吹台で採取されてるのと同じようなものでしょう。
ゲート
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広いぜ。土地余りまくり。
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柱が脆弱なのが気になった。
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ガイドさんいわく、地震が全然無いらしい。そりゃそうだ。ユーラシアプレートのかなり奥だもんなあ。
地図
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どこがどこやら。
もう一歩前へ!
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漢字で何となくわかる!
150キロぐらいずーっと高速道路を走ってきたんだけど、トンネルが皆無だった(橋はところどころあった)日本では考えられないことだ。
北海道以外ではこういった「だだっ広さ」は体験できないんだろうな。北海道いったことないけど。
ガソリンスタンドのブランドはこればっかり
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http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E7%9F%B3%E6%B2%B9%E5%8C%96%E5%B7%A5
自分の中での知名度は中国石油天然気(ペトロチャイナ)の方が高かったので、なんか意外。
高速を降りて、楽しい一般道へ突入。
大型車、一般車、原付、自転車、リアカー、歩行者の入り交じるカオスが出現。こんなところ絶対運転したくねえ。
横入りだの諸々の交通マナーの悪さは、自分が体験した中で暫定一位だった羽曳野(大阪府)および丸亀(香川県)を遥かに凌駕してました。
「水曜どうでしょう」で見たハノイの光景にそっくり。
そして、何もしなくてもクラクションを鳴らす。「どけ」でも「早く行け」でもなく「後ろから近づいてるぞー」の意味でプープー鳴らしまくり。クラクションが絶えない。
原付ノーヘル
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原付は事故が多いらしい。法的に自転車と同じ扱いなんだそうで。制限速度は20km/hだけど、余裕でもっと速度が出る上に誰も守ってないらしい。
以前はガソリン車もあったけど、今は排ガス規制で全廃されて全部電動になったそうな。
ほんとだ。よく見るとマフラーがついてない。
ガソリン原付が消えて電動原付に切り替わったのはここ数年のことらしい。
何というか、さすが金持ち独裁国家。トップダウンが行き渡るまでの早さがすごい。
そしておそらくその陰で抹殺されたであろう、ガソリン車を製造する中小企業の犠牲が偲ばれる。どのぐらいの規模で解雇したんだろう。国策ってこわい。
工事中
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たぶん拡幅工事。
この工事のせいでバスが通りにくくなっていた上に、公安のパトカーが駐車違反場所に堂々とパトカーを路駐していたりして、なかなか動き出さなかった。
警察の威張り具合は日本よりも酷そう。
日本車発見
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巡った庭園
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水が汚い割には臭わないし虫もわいてないな、と思ってガイドさんに聞いてみたら、ほぼ毎日水を入れ替えているらしいですよ、とのこと。
気合入ってるなあ。さすが成金国家。
剣で石を斬ったあと
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誰の仕業か聞いた気がするけど忘れた。似たような伝説ってたくさんあるよね。劉備と孫権も石を斬ってたような。
ゴミ箱
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ちゃんと分別してる!
数珠屋のババア
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観光客に対して全く声を掛けることなくムシャムシャと菓子食ってた。寺の敷地内に店を出させてもらっているということは、たぶん運営してる団体のコネ。
だから態度悪くても呼びかけしなくても余裕。たまに買っていく人も居るだろうし。
他の団体のバス
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「私を日食につれてって」なんてプラカードつきのバスがごろごろ。
なんか観光客、日本人ばっかりだよ。日本人は蘇州に誘導するように指示でも出てるのか?
この人達は上海まで空路で来て、今日は観光日で、おそらく明日にどこか郊外で見るつもりなんだろう。
今どき珍しい電話ボックス
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さすがに携帯は普及しているようで。
気温35度の炎天下だったけど、湿度が低いのか、日本で感じるほどの暑さではなかった。
寺なんかを一通り巡ったあと、絹の紡績工場へ連行。
テレホンショッピングのノリで絹製品の実演販売がなされる。
シルク布団(中綿が絹でできてる)が1枚450元。日本円での支払もOKで7800円。
「この工場で作ってますので、特別価格でお売りできます」
と説明係の人が言ってました。「卸価格」ではなくて「特別価格」というところがミソ。
しかし買ってる人けっこう居たなあ。まあ、寄り道が全然許されてないツアーだし、家族連れとか、モノを実際に使う人たちにはいいのかもしれないけどね。
同じものを日本で買うと7800円よりもかなり高いのも事実だろうし。
ただ、同じものを中国国内の別の店で買うと450元よりも安いんだろうな。ってなところまでみんな分かった上で買い物してたっぽいけどね。
同じ建物で昼食。「蘇州名物料理」とパンフにでかでか書かれてた。
なんか薄味。量も物足りない。運んでくる人たちの手際も悪い。
ま、最初から全く期待してなかったので別にいいんですが。
ただ、半日ついてくれたガイドは本当によく頑張ってくれてたと思う。
絶対に退屈だろうと思っていた観光地巡りで、そこまで退屈せずに済んだ。
再び高速に乗って、太倉港へ。
夕方が近づいてきて、雨がぱらついてくる。おいおい大丈夫かよ、と思ったらただの夕立だったみたいですぐに止んだ。
もうみんな、明日の天気のことで頭がいっぱい。ドキドキハラハラ。
帰りの税関は余裕の通過。
帰っていく外人なんかハッキリ言ってどうでもいいもんね。
拳銃持っていようと麻薬持っていようと、そちらの国の入国審査でどうにかしてくださいってことだ。
さて、そんなわけで観賞場所発表。
甲板に1m四方で格子状にテープが貼られてるわけですが、そのどの座標が当たるかという発表。乗船時にその旨の書かれた紙がもらえるということで、ワクテカドキドキなわけです。
名前を呼ばれてもらった紙がこれ
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イ`ヘ
/: :| ヽ
/ : :/ ヽ ___ _,,,:. .-: :´彡フ
_ノ\_∠: : : : : : : : :`: :-: :,:_:/彡 /
( : : : : : : : : : : : : : : `ゝ /
マ r::/: /: : | : : : : : : : : ::\ /
//: /: : : |: : | |: : |: _: : : :ヽ
ジ {/ 7|`\/i: /|:|/|´: : : : :|ヽ
〉 ,‐-‐、`|7 || |_::|,_|: : :|:::|: |
で / r:oヽ` /.:oヽヽ: :|: | :|
{ {o:::::::} {:::::0 }/: :|N
っ | ヾ:::ソ ヾ:::ソ /|: : |
!? ヽ::::ー-.. /ヽ ..ー-::: ヽ::| r--ッ
-tヽ/´|`::::::::::;/ `、 ::::::::::: /: i } >
::∧: : :|: |J \ / /::i: | /_ゝ
. \ヾ: |::|` - ,, ___`-´_ ,, - ´|: : :|:::|
ヽ: |::|\  ̄/ /| |: : :|: |
まさか角が当たるとは……
気合入りまくりで機材大量持込の方々には申し訳ない気分だけど、これでいよいよテンションが上がってまいりました。
観るぞ! 人生初の皆既日食!
7月22日
天気……………くもり!
船内放送で目が覚める。
窓の外を見る……分厚い雲!
急いでデッキに出てみる。
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なんだこれは…雲? 霧?
何層あるか分からない雲
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いや、まだだ。天気なんてすぐに変わるもの。
日食直前から晴れてくる可能性だってあるはず。
周囲全部晴れというわけにはいかないだろうから、360度の夕焼けは無理にしても、黒い太陽はまだまだ見られる可能性がある。
少し明るくなってきて、霧はどうにか晴れた
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船の中の雰囲気も、まだ誰一人として諦めていない。
しかし、船室に戻ったところで同室の人が「フロントで天気図を見せてもらった」と言って見せてくれた写真(デジカメの画面)を見て絶句。
同じものがラウンジにも貼ってあった
http://dpmn.net/gazo/ecli/042.jpg
え…? 何この停滞前線……?
梅雨? 嘘だろ? 梅雨なんてとっくに明けたはずだろ?
よりにもよって、皆既帯にぴったり重なるように梅雨前線が横たわってやがる。
小笠原気団の位置がかなり南に下がっているらしい。
しかしまだまだみんな諦めない。
天文おじさんは三脚をセッティング。私も日食グラスと双眼鏡などの準備。
船が速度を上げた
http://dpmn.net/gazo/ecli/043.jpg
どうやら雲の切れ間を求めて移動してくれている模様。
この辺りの融通の利き具合は、今回のツアーの本当に良いところ。
太陽の位置は東側、鑑賞デッキは船尾にあるので、船は西を向いているべきなんだけど、中国から日本に向かって航海しているということは東向きに進んでいる。
そんなわけで、日食鑑賞の間は船の向きを逆にする措置が執られた。なかなかちゃんと分かってらっしゃる。
そうこうしているうちに第1接触(欠け始め)の時刻を過ぎる。
放送で案内するという話だったけど、待てないのでデッキに出てみる。
なんかみんなもう外に来てた。まあ、この辺は流れだよね。
朝よりはだいぶ雲が薄くなっている気がする。もしかするといけるかも、という雰囲気が漂っている。
波は穏やかで空は明るい。でも雲に覆われているという感じ。
太陽の位置は確認できなかったけど、薄曇りになったときに何とか確認できた。
9時39分(中国時間)
第2接触(皆既開始)。一気に周囲は夜の明るさに。歓声が上がる。
ああ、あの雲の向こうには黒い太陽が! 見たい! 見たかったああ!
そこらじゅうから「見たかったねえ」の声が。
誰かが「星!」って声を上げた。
右方向(南の空)に雲の切れ間があって、ちょうどそこに明るい星が。
星図を持っている人によると金星だったらしい。
夕方の西、明け方の東、以外の方向に金星が見えるのは皆既日食の場合だけだから、一応皆既日食独特の体験をしたと言えるかもしれない。
9時45分
第3接触(皆既終了)。周囲はまた一気に昼の明るさに。
残念ながら黒い太陽を拝むことは出来ず。周囲からは残念な溜息が漏れる。
そのわずか5分後、雲の切れ目に太陽が!
食分95%ぐらいの細長い太陽
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写真だとほとんど分からないんですけどね。薄い雲越しに肉眼でU字の太陽が見えました。きれいな写真が撮れた人もいたみたい(あとでPCに取り込んだ拡大画像をみせてもらった)。一応、月表面の凹凸がちゃんと分かるぐらい。
周囲からは「惜しい!」「あと少し早ければ!」の声が。いや全く。
10時過ぎ
船が方向を本来の向きに戻す。みんなデッキから撤収。
他の観測地域での結果が気になりますねー、みたいな会話を周りの人たちと交わす。
13時。昼飯食って外に出てみたら気持ちいいほどの快晴。刺すような陽光。
ああ、あと4時間。あと4時間早くその晴れを寄越してくれれば…
〜夕方
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気持ちいいほどの青い空。
何このきれいな夕陽
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おい月! すぐ横に居るんだろ! ちょっと気合い入れて軌道ずらしてもう一度重なってみやがれ! ちくしょー!
昼から夕方にかけて次々と他地域の情報が入ってくる。
テレビラウンジで「NHK World」っていうチャンネルを見てたんだけど、この日は日食関連のニュースがたくさんだったので。
http://www.nhk.or.jp/nhkworld/japanese/top/index.html
・バラナシ(インド)
夜明け直後に皆既日食。ガンジス川で沐浴しながら日食を見る人々の姿が。何たる神秘、羨ましい。
・武漢(中国)
晴れ〜薄曇。黒い太陽がちゃんと拝めていたよう。おそらくすぐ近くの重慶も同じ。
・上海(中国)
雨。弱い雨なので観測の実態はおそらく我々と同じような感じだったと思われる。
・トカラ列島
大雨。避難するレベルの嵐。気の毒すぎる。
・その他南西諸島
雨か曇り。しかし喜界島だけは例外的に薄曇りで黒い太陽が観測できたらしい。
・小笠原諸島、硫黄島近海
快晴。最高の観測条件だった模様。
天気というのは本当に直前になってみないと分からないもの。
トカラに行った人は気の毒としか言いようがないです。決して愚か者ではないということを強調しておきます。なんか帰国してからネットのニュースを見たら、南西諸島組はすごいバカにされてたみたいだからさ。
むしろ、小笠原組にも大きなリスクはあったのです。
小笠原気団の位置が本来のようにもっと北にあれば、そのさらに南で台風が発生して、ウロウロする台風のせいで海が大荒れ、空模様は最悪で船は揺れっぱなしの船酔い地獄。なんてことだって十分に考えられた。
実際は小笠原気団が南に居座ったので、そのど真ん中での観測になったから大勝利だったわけだけど。
そんなわけで、消化不良ながらも初めての日食体験は幕を閉じたのでした。
文句言って暴れる人なんて一人も居ませんでしたよ。ツアーも船も最大限努力してくれたしね。値段も元々良心的だったし。
夜まで放心状態で、ダラダラと「NHK World」(英語)を観て過ごす。
このチャンネルおもしろい! なんか、英語力がついたと勘違いできそう。
日本の最新トレンド紹介のコーナーで鷲宮痛車祭
http://www.wasimiya.org/moefes/itasya.html
とか、「いっしょにとれーにんぐ」
http://www.isshoni-training.com/
とか取り上げられてた。
日本を紹介するツボを心得てるなあ。
これで後は帰るだけ。青島ビールを浴びるほど飲むかなあ、と思ってた。
しかし、今回の旅最大の山場は、実はこの後にあったのです。
夕食の前に部屋に帰ってきたところで、同室の天文お兄さんが一言
「今夜、星を見に行こうかと思ってるんですよ」
ああー、なるほど! 言われなければ全然思いつかなかった。
考えてみれば今夜は最高の観測条件じゃないか。
天気→快晴になった
視界→海なので水平線(0度)まである
空気→外海なのですごくきれい
光害→海なので街なんてない
月→日食の日なので当然ながら新月
これは見えるぞ。夕食後にwktkしながらとりあえず船の左舷(北側)へ。
おっと、何か周りが明るい。この船そのものに明かりがついてるせいか。
ということで物陰に移動して再び空を見る。
目の前にドーンと北斗七星が! やばい、空気きれいすぎる。
北極星の高度がほぼきっちり30度で、自分のいる緯度がよく分かって面白い。
視線をぐーっと左に回して天頂付近に赤くて明るい星、アークトゥルス!
逆方向に回して、同じく天頂付近にベガ!
そして今夜はもう目を凝らすまでもなくはっきりと見える光の帯、天の川!
目が慣れてくると見える星の数も増えてきて星座が結びにくくなってくる。
いつもはすぐに十字架が見えるはくちょう座が、もう天の川で溺れてるみたいになってる。アルタイルも一等星のくせに目立たない。周囲が星だらけだから。
テンション上がってきた(・∀・)!
午前にはしゃぎ損なった分をこの瞬間にようやく取り戻した感じです。
デッキを⊂ニニニ( ^ω^)ニニニ⊃ブーンって走りながら右舷の方へと回り込む。南天もキレイに違いない。
回り込んですぐ、目の前にでっかいさそり座が!
さそりの尻尾なんていつも山肌にかかっちゃうような高度だけど、水平線まで視界があるから全部見える!
なんか人がいっぱい集まってきた!
やっぱりこの空は天文マニアにとっては垂涎モノだもんね!
「いて座があの辺にあるはずなんですが…」って言ってたら隣にいたおじさんが「あの4つの星がポットの持ち手みたいになって、その右側の少し上に蓋のような形が…」って説明してくれて無事に見えた。
って、同室の天文おじさんじゃないですか。さすがだ。
おじさん、船室から三脚と双眼鏡を持ってきてセッティング。
さそり座の少し左へ向けて、ちゃちゃっと目標を導入。わずか数秒。
「はい。左がM6散開星団。右がM7散開星団」
ちょっと、何その早業! さすが口径38センチを持つ猛者。
他にも星猛者がゴロゴロと居て、プチ観測会は大盛り上がり。
冬にもこんな環境で星を観てみたいなあと思うと同時に、本来ならば今日の昼に冬の星座たちが観られたんだよなと思い出し、残念な思いにも駆られました。
しかし、あの濃い天の川はやっぱり素晴らしい。
今ちょうど「宙のまにまに」ってアニメ(私的に今期一押し)が放送されてるんだけど、美星ちゃんの気持ちが分かるような気がした。
http://www.mmv.co.jp/special/soramani/
その場ではオタ話は自重したけどね。
原作者のカシマミ先生は上海に行っていたらしい。雨で残念。原作の漫画も面白いです(帰ってから買いそろえて読んだ)
夜が更けてきたところで今度こそ撤収。
日食は残念だったけど、星空がものすごく綺麗だったのでまあいいか。
そんな気分の4日目でした。
7月23日
天気、晴れのち曇り
いつの間にか目が覚める。ボケーッとしているうちに下船の時刻が迫ってくる。
夜明けだ
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あんなことがあった翌日にも、太陽は何事もなかったかのように昇る。
船は既に福岡の沖。
携帯の電波が入ったので大相撲の結果をチェックする。全勝だったはずのドルジがいつの間にか3敗していた。
頭でも心でも、ああ帰りたくないずっと船に乗っていたい日常になんか戻りたくないって思ってるのに、携帯の電波が入ったらすぐにあちこちチェックしてしまう。何というか悲しい情報中毒者。
てきぱきと撤収準備をしながら、同室のおじさんに質問。
「リベンジはいつなさるご予定ですか?」
「やっぱりケアンズかねえ」
とのこと。まあ、そうですよね。2010年のイースター島はさすがに厳しい。
今後の主な皆既日食の予定は
・2012年11月13日、オーストラリア北部
皆既帯が通過している部分と陸地が重なっているところが、豪州北東部のツノの部分だけなので、観測地はほとんどケアンズ一択(海で観る人もいるかもしれないけど)
ギリギリ乾期なので大丈夫かなと思う。
・2017年8月21日、全米
アメリカ横断ウルトラ皆既日食。西海岸から東海岸までズドーン。
砂漠気候の部分も通っていると思うので、2012年がアウトだったら行っちゃうかも。
・2035年9月2日、日本
北陸〜関東。
生きてるのか俺…?
同室の若いお兄さんは「2035年までお預けです」って言ってたけど、本当にそれまで待てるのかなあ? 時期が迫ってくると行きたくなっちゃうかもしれないぞー?
私も3年後には必ずケアンズに行こうと心に決めました。
今回の皆既日食は、本当にここ数年の自分にとって生きるモチベーションになっていたのです。くじけそうになっても「いやでも2009年7月22日の皆既日食を観るまでは死ねないしなあ」って思って頑張ってきた。
こんな結果になったから、今度は「2012年11月14日の皆既日食を観るまでは…」にフレーズが変わることになります。
ちなみに…
金環日食だったら、実は2012年5月21日に日本で観られます。
東京が金環帯のど真ん中です。時刻も朝の6時台なので、多くの人が仕事や学校に行く前に悠々と観測できるでしょう。晴れればね。
食分は96%ぐらいあるそうです。細い輪っかになった太陽が観られます。当日は寝過ごすと非常に勿体ないので、みんな気を付けよう。
とはいえまあ、金環食だからねえ。星空もコロナも夕焼けもないから。
でも、太陽の形が変わる様は楽しめるので、こちらも期待しましょう。
そんなわけで下関港に帰還。
日本の検疫は太倉港みたいなバーコード読みとり機じゃなくて、一列に並んでる我々にでかいテレビカメラみたいなものを向けるだけ、というもの。
サーモグラフィーってやつですな。あれで体温計るんだ。機械高そう。
ここで船とお別れ
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素敵な思い出をありがとう。
そして再び税関。書類に記入ミスがあったんだけど、丁寧に教えてくれた。役人のくせになかなかやるじゃん。偉いよ。
通過も何というかユルユルでしたよ? さすがに拳銃とかは反応しそうだけど、麻薬とか偽ブランド品ぐらいなら余裕で持ち込めそうな気配。日本の税関、大丈夫?
ツアーの旅行客が帰ってくるだけだから甘かったのかもしれないけどね。
外人に対してはめっちゃ厳しいのかも。
下関港からは北九州空港までバス…だったんだけど「バスが故障しました。しばらく待ってください」って言われてみんなから苦笑が漏れる。
中国のバスですら故障しなかったのに…
自動車技術で負けてどーする。
数十分後、代替のバスが手配できたみたいで無事に出発。
途中休憩で壇ノ浦PAに立ち寄る。
関門海峡は海の要衝
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カブで来てみたいなあ。
北九州空港はこんなところ
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北九州市の南の端っこですな。
空港で搭乗券をもらって、ツアーはおしまい。あとは飛行機に乗って各々帰るだけ。
最寄駅に着いたのはちょうど午後6時でした。
旅の後遺症が全然抜けず、日常に帰ってきてもボケーッと過ごすことが多かった。
この日記を書き終わってようやく日常に帰れた感じだ。
以上、4泊5日の旅行記でした。
おしまい。
7月19日
天気、曇のち晴れ。
6時頃、自宅を出発。
下関港の出航は16時なので明らかに早いんだけど、間に合わなかったら大変だということで、ツアー会社の用意した便が9:10羽田発というシロモノ。
浜松町から東京モノレール。初めて乗ったかもしれない。
羽田を最後に利用したのはたしか9年ほど前だから。あの頃モノレールってあったっけ。
そんなわけでスターフライヤーなる航空会社の便にて北九州空港へ。
知らない会社だった。路線限定なのね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%BC
乗った飛行機
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飛行機に乗ること自体も9年ぶりなので、こんな光景も9年ぶり。
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北九州空港は海の上にある空港でした。北九州空港のくせに、行橋市の沖にあるという。
人工島の部分だけ北九州市。
空港からバスで下関港へ。関門橋を渡る。
子供の頃、神戸(出身地)から鹿児島(母の実家)に夏休みのたびに行っていた自分にしては、懐かしい光景。
12時、下関港に到着して乗船券などが配られる。
船の出航は16時。
「15時45分までテキトーに時間を潰してきてください。荷物の預かりはありません」とのこと。下関の街で少し遊ぶことにしました。
港にはコインロッカーすらない。下関駅まではデッキで繋がってたから、大荷物の人たちは駅のコインロッカーでも使ったのかな。私はリュック一つだから、担いだままウロウロしてたんですけど。
ダイエーのレストラン街で昼飯を食った後、本屋や電器屋をウロウロ。
地方都市に行ったときには、中高生の会話に聞き耳を立てて方言を観察するのが趣味なんですが、今回の下関は特徴的な訛りはありませんでした。鹿児島の凄まじさに慣れてるせいだろうか。
まだ時間があるので、ちょっと離れたラウンドワンまで歩く。
船の中で万札が使いづらいかなと思ったので、ここで両替しておくことにしました。
で、一万円札を入れたものの、出てきたのは100円玉が10枚。それだけ。
なんで釣り札が出ないんだろう、もしかして一万円札だと思って入れたのは千円札だったのかな? じゃあ今度こそ一万円札を…と思って財布を覗くとやっぱり万札が足りない。
両替機の表示を見ると「中止」になってる。あーもしかしてこれはトラブルというやつか。
店員に事情を話してみたところ「両替機の鍵を持っているのが店長だけで、店長の出勤が16時」とのこと。時刻は15時20分。
船の出航時刻とか集合時刻を考えると待てないので、住所と電話番号を教えてその場を去りました。
そんなわけで再び下関港。
ここからは蘇州だけじゃなくて釜山や青島への航路もあるようで。
近くの人は韓国旅行に行くときにも飛行機じゃなくてこっちを使うのかも。
税関は余裕の通過。日本人だし、出る人間なんて大したチェックはしないよね。
これまで何度も海外旅行のチャンスはあったものの、事情でその全てをフイにしてきた自分、ようやくパスポートに初めてのハンコが押されました。何となく感慨深い。
船に案内される途中の行列に居るときに携帯が鳴る。
「ラウンドワン下関店でございます…」「惜しい! さっき税関出ちゃったところ!」
やっぱり9千円が両替機の中で詰まってたらしい。いや、危ない危ない。「千円札入れたんだな」なんて勘違いをしたまま放置して帰ってたら9千円丸損するところだった。
私の帰宅後に現金書留で送ってくれることになりました。現金書留って面倒な上に料金高いよね。機械がトラブったら思わぬ形の手間や出費が生じるんだなと少し気の毒に。
税関から広い港の中をマイクロバスで移動し、無事に乗船。
なんか船内は豪華な感じ。フロントでメインの案内をしてくれた兄さんは日本語堪能な中国人でイケメンだった。
そういや昔は、中国はオリンピック選手もまず顔で選ぶって噂があったような。ブサメンを排除してもまだまだ人が多いから、その中で選んでも優秀なヤツがいくらでも居るという理屈で。全く絶望的になる話です。
そんなこんなで無事出航。
関門海峡
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船首側デッキ。こちらは立入禁止
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脇を過ぎていった不審な船
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何積んでるの? そのブロックみたいなものの下に何があるの?
何となく北朝鮮の不審船を思い出した。
外洋に出ると空が晴れてきた。
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波も穏やかで潮風が気持ちいい。
船尾側デッキ。
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日食の観賞場所はここ。
1メートル四方の枠が各々に用意されていて(一人一枠)、テープで印が付けられてる。
どこが当たるかは、帰りの船に乗る前に教えてもらえるそうです。
軌跡
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船の場合も軌跡って言うんだっけ? 日本語ムズカシイ。
船内に戻って色々と見て回ることに。
船という閉鎖空間だから、物は高いんだろうなと漠然と覚悟していたのですけど、さほどでもない。ジュースの値段も同じだし。
タバコが安い!
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タバコ税がないからだ! パナマ船籍だもんね。
まあ、吸わないから関係ないけど。
ビールも安い!
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酒税がないからだ!
まあ、そこまで飲まないし、結局自販機では買わなかったんだけど。
ちなみに食事時に注文できる青島ビールは、大瓶1本200円。こっちは飲んだ。美味。
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カップ麺は高い。自販機の受け入れは日本円なのに、品名はなぜか中国語表記。
食事はバイキング形式。ただ、乗ってる人数が多いだけに次々と人が来るのでのんびり選んでられない。
流れ作業的に素早く欲しいおかずを判断して皿に素早く盛っていく作業という感じ。
それでも調子に乗って食べ過ぎた。
7つの班に分かれて15分おきに食堂へ呼ぶという感じなものだから、厨房は大忙し。
夕陽がきれい
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お風呂も割と広くて快適。足を伸ばせる風呂に入ったのはいつ以来だろう。
ヒキコモリの治療にはこういう環境はすごく良いのかもしれない。定期的に銭湯にでも行くべきかな。
相撲の結果を知りたいと思ったけどワンセグはもうダメ。ラジオはAMは全滅、FMで韓国語の放送が入る。だいぶ沖まで来たみたい。
夜の放送で中国時間へ時計を合わせる旨。時差は1時間。
あんなに広いくせに標準時が1個しかないんだよね。さすが独裁国家。
東経120度ってことは、中国の東部都市部のことしか考えてないよね。満州の夜明けはめっちゃ早くて、ウイグルなんかは時刻は深夜でも日が沈んでないということになるんだろうか。
寝台に戻ってきたところで、対面の寝台の人と少し会話。50手前ぐらいのおじさん。
天球儀ソフト入りのGPSだとか、双眼鏡に三脚にと、かなりの気合入りっぷり。
ただ「見たい」で来てしまった自分がちょっと矮小な存在に感じられてしまう。
乗客はだいたい、おじさんみたいな筋金入り天文マニアが1割強、私みたいな「安いし天文も好きだしこんな機会だから見なきゃ!」ぐらいの人が4〜5割、蘇州観光も皆既日食も両方楽しもうという旅行気分の人(家族連れに多い)が残りの4割程度、という感じでした。
少し揺れが強くなってきたので、さっさと寝てしまおうと思い就寝。
7月20日
天気、曇のち晴れ。
未明に目が覚める。時計を見たらまだ前日の23時。
もう一度寝る。また目が覚める。時計を見たら2時。
もう一度寝る。また目が覚める。時計を見たら4時。
なんでこんなに中途覚醒するのかなと思ったら、船が大きく揺れてる。
前後左右だけじゃなくて上下にもかなり揺れる。
こんだけ揺れたらもしかして…と思った途端に酔った。
どうやら揺れだけでなくて気分の悪さでも目が覚めていたみたい。
外洋のうねりというのはやっぱり国内のフェリーなんかとは段違いだなあと。
一昨年に仕立て船で釣りに行ったときは、揺れる船上で釣りの仕掛けを作ったりしてても酔わなかったのに。
トイレに行って、とりあえず軽く吐くとだいぶ良くなった。
備えあれば憂いなし。出発前に買っておいた酔い止め薬を服用。
http://store.shopping.yahoo.co.jp/soukai/4987241103577.html
出番が来るとは思わなかったけど、持ってきていてよかった。
もう眠る気にはならないので、テレビを置いているラウンジに行ってだらーりと。
飲み物を買おうと自販機ルーム(喫煙室を兼ねてる)に行ったら、何だか人がいっぱい。
みんな結構ぐったりしてる。普段酔わない私ですら酔ってるわけだから、そりゃ酔う人多いわ。
喫煙所で電子タバコを吸っている人を見かけた。あれってホント、ぱっと見には見分けがつかないね。
薬が効いてきたのか、どうにか食事を摂る意欲を取り戻して、軽く朝食。
ここで気がついた。自分の寝てる船室はものすごく揺れるのに、食堂やテレビラウンジはさほど揺れない。
特に、上下の揺れが少ない。
気がついてしまえば簡単なことなんだけど、私のあてがわれた部屋は端っこ、船首に一番近いところで、しかも私のベッドは一番隅っこ。
船は重心を支点にして揺れるわけだから、当然ながらそんな場所だと揺れがでかいわけだ。
船の中央近くにあるテレビラウンジは上下にあんまり揺れないというわけ。
そんなわけで、ボケーッとテレビを見ながらしばらく過ごすことにしました。
中国の衛星放送が映されてた。バラエティのチャンネルっぽい。
ちょうどドラゴンボールZをやってた。字幕があるのになぜか吹き替え。たぶん、字幕版が先で、吹き替え版を作るときに字幕なし版を改めて入れるのが面倒だったんだろう。
よりにもよって「恐るべしサイバイマン ヤムチャ死す」の回だった。まさか中国語でDBの神回が見られるとは。
声優さんは割と上手だったと思う。ただ、声がちゃんと似てたのはクリリンぐらいかな。ベジータはかなり違う声だった。
英語版なんかだとかなり似せてるという話だけど。中国語圏の声オタはそんなに五月蠅くないのかもしれない。
中国語で「おい、汚いから片付けておけよ。そのボロクズを」もばっちり聞いた。聞き取れてないけど。内容を覚えているもんだから割と楽しい。
昼前までそんな感じで過ごしているとだいぶ気分がマシになってきた。
天気も回復したようなので外に出てみる。
陸地が全く見えない広い海。強い日差し。強い潮風。外洋なんだなあと実感。
「日食グラス」を使って太陽を見てみる。
黒点がほとんどない。極小期だからね。明後日もこれぐらい晴れるといいなと思う。
14時
ミニ中国語講座を最上階の大ホールでやるということなので行ってみる。
この部屋、全然揺れない。ていうかこの階自体もなんか下との間にクッションでも入ってるのか、揺れが少ない。
すぐ脇にスイートルームがあるんだよね。貧乏人は下の階で嘔吐して、スイートな方々は揺れない船室で優雅に惰眠をむさぼるというわけですか。
中国語講座の講師は、フロントでいつも案内をしてる例のイケメン。
「中国語はそんなに難しくないんです」という導入から始まったけど、もしそれが本当なら、私の後輩は中国語の単位のせいで2度留年なんてしてないはずです。
内容は、まあなんというか、数詞と挨拶の発音ぐらいですね。
麻雀がしたくなるような内容でした。
で、質問タイム。
観光先で土産物売りがしつこかったら厄介だなと思って
ハ,,ハ
( ゚ω゚ ) お断りします
/ \
((⊂ ) ノ\つ))
(_⌒ヽ
ヽ ヘ }
ε≡Ξ ノノ `J
って何と言いますか?
と聞いてみた。「不要(ブーヤオ)」だそうです。
「お断りします」のポーズに気付いた2chねらーが居たかどうかは不明。
そんなこんなで夕方
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陸地が近いのか、船影が多くなってきた。
水が汚い。
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もうもしかして汽水? というか長江の中に入ってる?
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あ、着いちゃった。
名目上の到着は明日の朝だから、ほとんど停船した状態で夜を明かす予定だそう。
これで揺れる心配はほとんど無いので、安心して夕食では青島ビール(大瓶1本200円)を飲むことに。まあ、自分のアルコール分解能力的に1本しか飲めないんだけど。
20時半頃
船室に戻って、眠気がくるまで本でも読んでようかなと思ったら、いきなり鼻血がドバー。飲むと粘膜が弱るから時々やるんだよなあ。
ティッシュを染めつつ、床に撒き散らした血痕を拭き取る作業。
大部屋じゃなくて寝台にしておいてよかった。
21時頃
同室の人たちが戻ってくる。
若い天文マニアのお兄さんと、対面のおじさんによる望遠鏡談義が始まる。
やばい俺、全然ついていけてない。
おじさんは口径38センチの望遠鏡を持っているらしい。
38ミリじゃないよ、38センチだよ。その望遠鏡はもはや一種の「施設」なのでは。
「唯一の趣味だからねえ」とのこと。すごいぜ。
ちなみにおじさんは皆既日食を一度体験済。前回はメキシコで見たらしい。
印象的だった天文現象として他に
「百武彗星の接近」(この時の私は確か小学生か中学生。望遠鏡の視野に入れることすらできなかった)
「しし座流星雨」(2001年。私は兄夫婦を誘って飯能の山奥に行って観た)
を挙げていたけど、やっぱり一番は皆既日食だとのこと。
うあああ、めっさ楽しみになってきた。
蘇州とかどうでもいいよ。もうこのまま出航してくれよ。と思いつつ寝る。
7月21日
天気、快晴
今日こんなに晴れても仕方ないって。明日晴れてくれないと。
っていうぐらい気持ちの良い快晴。
到着した港は太倉というところ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E5%80%89%E5%B8%82
蘇州市の下にさらに複数「市」があって、その中の一つが大倉市。
倉がつくだけあって、見事にコンテナだらけ。国の倉庫と呼ばれているそうな。
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朝飯食って下船。
いよいよ中国へ入国です。
検疫では、バーコード読みとり機みたいなのを持ったお姉さん2人組が待ってて、そこに並んでピッってやってもらう。
んで、異常がなければ通過。何か異常があれば検疫官の待つ別室へ、という流れ。
半分ぐらい引っかかってるし!
私も引っかかったし!
どうも、2台のうち片方の機械の設定がおかしかったらしい。
大量に仕事を回された検疫官がすっげー不機嫌。
別室の前に椅子に座ってしばし待つ。
「Next!」と呼ばれ、ああ英語だよかった、中国語だったら手も足も出ないところだった。と安心しつつ検疫官の居る部屋へ。
「Excuse me」「Sit down」
sir(さん)をつけろよデコスケ野郎と思いながら体温を計る。
「Headache? Cough?」「Nothing」やっぱりアジア訛りってのがあるのかな。聞き取りやすくてホッとする英語だなあ。
「(ちょっと考えて)ビークン?」「(ん? 何つった今?)Pardon?」
「ビークン!」言いつつ紙に書く。「病気」
俺、苦笑しつつ「Nothing」
話してる途中で英語からいきなり中国語になるなっつーの。いや、気持ちは分かるけど。
漢字でコミュニケーションが出来ることのありがたみが分かった気がする。韓国政府が国策で放棄した漢字のコミュ力。
結局平熱で解放されたけど、何故か住所を書かされた。何の意味があったんだろう。
まあ、面白い体験でした。
太倉港の検疫、というか観光客受け入れ態勢は全体的に慣れていない印象を受けた。
そりゃそうだよなあ。だって普通みんな飛行機で来るもん。
日食の船上ツアーなんてものがない限り、こんな大量の日本人が来ることなんて滅多にないだろうし。
太倉から蘇州の観光地までは高速(制限速度・120km/h)で1時間半程度。
中国は左ハンドルの右側通行です。左側通行の国って日本とイギリス以外にどこがあるんだろ?
バスも立派だし
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ガイドも愛想良くて日本語ペラペラで質が良かったなあ。
来年は上海万博もあるしね。蘇州みたいな観光都市は外人に受けるように必死の努力がなされてるんだろうなあ。
しかし悪いが我々の興味は観光都市ではなく帰りの海上なのです。
だって寺とか墓とか行っても、そんなの京都に比べたら…ねえ。
文化大革命でお寺も色々あったらしいし。まあ、ポタラ宮とかは別格だけどさ。
あ、太倉が鄭和の出身地だという話だけは「おお、あの鄭和の!」という風に感心した。
車内で5000円→340人民元という両替をしてくれた。割と良心的なレート、というか銀行よりも良いレートのような気がする。
再両替はナシという取り決めなので、340元も使い切る自信がなかったので私はやめときました。
どうせ大した土産物なんて買えないだろうし。
途中、陽澄湖SAでトイレ休憩。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%BD%E6%BE%84%E6%B9%96
陽澄湖は上海ガニの産地だそうです。蘇州なのに。
まあ、「六甲のおいしい水」が六甲山系から程遠い西区の井吹台で採取されてるのと同じようなものでしょう。
ゲート
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広いぜ。土地余りまくり。
http://dpmn.net/gazo/ecli/022.jpg
柱が脆弱なのが気になった。
http://dpmn.net/gazo/ecli/023.jpg
ガイドさんいわく、地震が全然無いらしい。そりゃそうだ。ユーラシアプレートのかなり奥だもんなあ。
地図
http://dpmn.net/gazo/ecli/024.jpg
どこがどこやら。
もう一歩前へ!
http://dpmn.net/gazo/ecli/025.jpg
漢字で何となくわかる!
150キロぐらいずーっと高速道路を走ってきたんだけど、トンネルが皆無だった(橋はところどころあった)日本では考えられないことだ。
北海道以外ではこういった「だだっ広さ」は体験できないんだろうな。北海道いったことないけど。
ガソリンスタンドのブランドはこればっかり
http://dpmn.net/gazo/ecli/026.jpg
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E7%9F%B3%E6%B2%B9%E5%8C%96%E5%B7%A5
自分の中での知名度は中国石油天然気(ペトロチャイナ)の方が高かったので、なんか意外。
高速を降りて、楽しい一般道へ突入。
大型車、一般車、原付、自転車、リアカー、歩行者の入り交じるカオスが出現。こんなところ絶対運転したくねえ。
横入りだの諸々の交通マナーの悪さは、自分が体験した中で暫定一位だった羽曳野(大阪府)および丸亀(香川県)を遥かに凌駕してました。
「水曜どうでしょう」で見たハノイの光景にそっくり。
そして、何もしなくてもクラクションを鳴らす。「どけ」でも「早く行け」でもなく「後ろから近づいてるぞー」の意味でプープー鳴らしまくり。クラクションが絶えない。
原付ノーヘル
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原付は事故が多いらしい。法的に自転車と同じ扱いなんだそうで。制限速度は20km/hだけど、余裕でもっと速度が出る上に誰も守ってないらしい。
以前はガソリン車もあったけど、今は排ガス規制で全廃されて全部電動になったそうな。
ほんとだ。よく見るとマフラーがついてない。
ガソリン原付が消えて電動原付に切り替わったのはここ数年のことらしい。
何というか、さすが金持ち独裁国家。トップダウンが行き渡るまでの早さがすごい。
そしておそらくその陰で抹殺されたであろう、ガソリン車を製造する中小企業の犠牲が偲ばれる。どのぐらいの規模で解雇したんだろう。国策ってこわい。
工事中
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たぶん拡幅工事。
この工事のせいでバスが通りにくくなっていた上に、公安のパトカーが駐車違反場所に堂々とパトカーを路駐していたりして、なかなか動き出さなかった。
警察の威張り具合は日本よりも酷そう。
日本車発見
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巡った庭園
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水が汚い割には臭わないし虫もわいてないな、と思ってガイドさんに聞いてみたら、ほぼ毎日水を入れ替えているらしいですよ、とのこと。
気合入ってるなあ。さすが成金国家。
剣で石を斬ったあと
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誰の仕業か聞いた気がするけど忘れた。似たような伝説ってたくさんあるよね。劉備と孫権も石を斬ってたような。
ゴミ箱
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ちゃんと分別してる!
数珠屋のババア
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観光客に対して全く声を掛けることなくムシャムシャと菓子食ってた。寺の敷地内に店を出させてもらっているということは、たぶん運営してる団体のコネ。
だから態度悪くても呼びかけしなくても余裕。たまに買っていく人も居るだろうし。
他の団体のバス
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「私を日食につれてって」なんてプラカードつきのバスがごろごろ。
なんか観光客、日本人ばっかりだよ。日本人は蘇州に誘導するように指示でも出てるのか?
この人達は上海まで空路で来て、今日は観光日で、おそらく明日にどこか郊外で見るつもりなんだろう。
今どき珍しい電話ボックス
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さすがに携帯は普及しているようで。
気温35度の炎天下だったけど、湿度が低いのか、日本で感じるほどの暑さではなかった。
寺なんかを一通り巡ったあと、絹の紡績工場へ連行。
テレホンショッピングのノリで絹製品の実演販売がなされる。
シルク布団(中綿が絹でできてる)が1枚450元。日本円での支払もOKで7800円。
「この工場で作ってますので、特別価格でお売りできます」
と説明係の人が言ってました。「卸価格」ではなくて「特別価格」というところがミソ。
しかし買ってる人けっこう居たなあ。まあ、寄り道が全然許されてないツアーだし、家族連れとか、モノを実際に使う人たちにはいいのかもしれないけどね。
同じものを日本で買うと7800円よりもかなり高いのも事実だろうし。
ただ、同じものを中国国内の別の店で買うと450元よりも安いんだろうな。ってなところまでみんな分かった上で買い物してたっぽいけどね。
同じ建物で昼食。「蘇州名物料理」とパンフにでかでか書かれてた。
なんか薄味。量も物足りない。運んでくる人たちの手際も悪い。
ま、最初から全く期待してなかったので別にいいんですが。
ただ、半日ついてくれたガイドは本当によく頑張ってくれてたと思う。
絶対に退屈だろうと思っていた観光地巡りで、そこまで退屈せずに済んだ。
再び高速に乗って、太倉港へ。
夕方が近づいてきて、雨がぱらついてくる。おいおい大丈夫かよ、と思ったらただの夕立だったみたいですぐに止んだ。
もうみんな、明日の天気のことで頭がいっぱい。ドキドキハラハラ。
帰りの税関は余裕の通過。
帰っていく外人なんかハッキリ言ってどうでもいいもんね。
拳銃持っていようと麻薬持っていようと、そちらの国の入国審査でどうにかしてくださいってことだ。
さて、そんなわけで観賞場所発表。
甲板に1m四方で格子状にテープが貼られてるわけですが、そのどの座標が当たるかという発表。乗船時にその旨の書かれた紙がもらえるということで、ワクテカドキドキなわけです。
名前を呼ばれてもらった紙がこれ
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イ`ヘ
/: :| ヽ
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_ノ\_∠: : : : : : : : :`: :-: :,:_:/彡 /
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マ r::/: /: : | : : : : : : : : ::\ /
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ジ {/ 7|`\/i: /|:|/|´: : : : :|ヽ
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で / r:oヽ` /.:oヽヽ: :|: | :|
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まさか角が当たるとは……
気合入りまくりで機材大量持込の方々には申し訳ない気分だけど、これでいよいよテンションが上がってまいりました。
観るぞ! 人生初の皆既日食!
7月22日
天気……………くもり!
船内放送で目が覚める。
窓の外を見る……分厚い雲!
急いでデッキに出てみる。
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なんだこれは…雲? 霧?
何層あるか分からない雲
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いや、まだだ。天気なんてすぐに変わるもの。
日食直前から晴れてくる可能性だってあるはず。
周囲全部晴れというわけにはいかないだろうから、360度の夕焼けは無理にしても、黒い太陽はまだまだ見られる可能性がある。
少し明るくなってきて、霧はどうにか晴れた
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船の中の雰囲気も、まだ誰一人として諦めていない。
しかし、船室に戻ったところで同室の人が「フロントで天気図を見せてもらった」と言って見せてくれた写真(デジカメの画面)を見て絶句。
同じものがラウンジにも貼ってあった
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え…? 何この停滞前線……?
梅雨? 嘘だろ? 梅雨なんてとっくに明けたはずだろ?
よりにもよって、皆既帯にぴったり重なるように梅雨前線が横たわってやがる。
小笠原気団の位置がかなり南に下がっているらしい。
しかしまだまだみんな諦めない。
天文おじさんは三脚をセッティング。私も日食グラスと双眼鏡などの準備。
船が速度を上げた
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どうやら雲の切れ間を求めて移動してくれている模様。
この辺りの融通の利き具合は、今回のツアーの本当に良いところ。
太陽の位置は東側、鑑賞デッキは船尾にあるので、船は西を向いているべきなんだけど、中国から日本に向かって航海しているということは東向きに進んでいる。
そんなわけで、日食鑑賞の間は船の向きを逆にする措置が執られた。なかなかちゃんと分かってらっしゃる。
そうこうしているうちに第1接触(欠け始め)の時刻を過ぎる。
放送で案内するという話だったけど、待てないのでデッキに出てみる。
なんかみんなもう外に来てた。まあ、この辺は流れだよね。
朝よりはだいぶ雲が薄くなっている気がする。もしかするといけるかも、という雰囲気が漂っている。
波は穏やかで空は明るい。でも雲に覆われているという感じ。
太陽の位置は確認できなかったけど、薄曇りになったときに何とか確認できた。
9時39分(中国時間)
第2接触(皆既開始)。一気に周囲は夜の明るさに。歓声が上がる。
ああ、あの雲の向こうには黒い太陽が! 見たい! 見たかったああ!
そこらじゅうから「見たかったねえ」の声が。
誰かが「星!」って声を上げた。
右方向(南の空)に雲の切れ間があって、ちょうどそこに明るい星が。
星図を持っている人によると金星だったらしい。
夕方の西、明け方の東、以外の方向に金星が見えるのは皆既日食の場合だけだから、一応皆既日食独特の体験をしたと言えるかもしれない。
9時45分
第3接触(皆既終了)。周囲はまた一気に昼の明るさに。
残念ながら黒い太陽を拝むことは出来ず。周囲からは残念な溜息が漏れる。
そのわずか5分後、雲の切れ目に太陽が!
食分95%ぐらいの細長い太陽
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写真だとほとんど分からないんですけどね。薄い雲越しに肉眼でU字の太陽が見えました。きれいな写真が撮れた人もいたみたい(あとでPCに取り込んだ拡大画像をみせてもらった)。一応、月表面の凹凸がちゃんと分かるぐらい。
周囲からは「惜しい!」「あと少し早ければ!」の声が。いや全く。
10時過ぎ
船が方向を本来の向きに戻す。みんなデッキから撤収。
他の観測地域での結果が気になりますねー、みたいな会話を周りの人たちと交わす。
13時。昼飯食って外に出てみたら気持ちいいほどの快晴。刺すような陽光。
ああ、あと4時間。あと4時間早くその晴れを寄越してくれれば…
〜夕方
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気持ちいいほどの青い空。
何このきれいな夕陽
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おい月! すぐ横に居るんだろ! ちょっと気合い入れて軌道ずらしてもう一度重なってみやがれ! ちくしょー!
昼から夕方にかけて次々と他地域の情報が入ってくる。
テレビラウンジで「NHK World」っていうチャンネルを見てたんだけど、この日は日食関連のニュースがたくさんだったので。
http://www.nhk.or.jp/nhkworld/japanese/top/index.html
・バラナシ(インド)
夜明け直後に皆既日食。ガンジス川で沐浴しながら日食を見る人々の姿が。何たる神秘、羨ましい。
・武漢(中国)
晴れ〜薄曇。黒い太陽がちゃんと拝めていたよう。おそらくすぐ近くの重慶も同じ。
・上海(中国)
雨。弱い雨なので観測の実態はおそらく我々と同じような感じだったと思われる。
・トカラ列島
大雨。避難するレベルの嵐。気の毒すぎる。
・その他南西諸島
雨か曇り。しかし喜界島だけは例外的に薄曇りで黒い太陽が観測できたらしい。
・小笠原諸島、硫黄島近海
快晴。最高の観測条件だった模様。
天気というのは本当に直前になってみないと分からないもの。
トカラに行った人は気の毒としか言いようがないです。決して愚か者ではないということを強調しておきます。なんか帰国してからネットのニュースを見たら、南西諸島組はすごいバカにされてたみたいだからさ。
むしろ、小笠原組にも大きなリスクはあったのです。
小笠原気団の位置が本来のようにもっと北にあれば、そのさらに南で台風が発生して、ウロウロする台風のせいで海が大荒れ、空模様は最悪で船は揺れっぱなしの船酔い地獄。なんてことだって十分に考えられた。
実際は小笠原気団が南に居座ったので、そのど真ん中での観測になったから大勝利だったわけだけど。
そんなわけで、消化不良ながらも初めての日食体験は幕を閉じたのでした。
文句言って暴れる人なんて一人も居ませんでしたよ。ツアーも船も最大限努力してくれたしね。値段も元々良心的だったし。
夜まで放心状態で、ダラダラと「NHK World」(英語)を観て過ごす。
このチャンネルおもしろい! なんか、英語力がついたと勘違いできそう。
日本の最新トレンド紹介のコーナーで鷲宮痛車祭
http://www.wasimiya.org/moefes/itasya.html
とか、「いっしょにとれーにんぐ」
http://www.isshoni-training.com/
とか取り上げられてた。
日本を紹介するツボを心得てるなあ。
これで後は帰るだけ。青島ビールを浴びるほど飲むかなあ、と思ってた。
しかし、今回の旅最大の山場は、実はこの後にあったのです。
夕食の前に部屋に帰ってきたところで、同室の天文お兄さんが一言
「今夜、星を見に行こうかと思ってるんですよ」
ああー、なるほど! 言われなければ全然思いつかなかった。
考えてみれば今夜は最高の観測条件じゃないか。
天気→快晴になった
視界→海なので水平線(0度)まである
空気→外海なのですごくきれい
光害→海なので街なんてない
月→日食の日なので当然ながら新月
これは見えるぞ。夕食後にwktkしながらとりあえず船の左舷(北側)へ。
おっと、何か周りが明るい。この船そのものに明かりがついてるせいか。
ということで物陰に移動して再び空を見る。
目の前にドーンと北斗七星が! やばい、空気きれいすぎる。
北極星の高度がほぼきっちり30度で、自分のいる緯度がよく分かって面白い。
視線をぐーっと左に回して天頂付近に赤くて明るい星、アークトゥルス!
逆方向に回して、同じく天頂付近にベガ!
そして今夜はもう目を凝らすまでもなくはっきりと見える光の帯、天の川!
目が慣れてくると見える星の数も増えてきて星座が結びにくくなってくる。
いつもはすぐに十字架が見えるはくちょう座が、もう天の川で溺れてるみたいになってる。アルタイルも一等星のくせに目立たない。周囲が星だらけだから。
テンション上がってきた(・∀・)!
午前にはしゃぎ損なった分をこの瞬間にようやく取り戻した感じです。
デッキを⊂ニニニ( ^ω^)ニニニ⊃ブーンって走りながら右舷の方へと回り込む。南天もキレイに違いない。
回り込んですぐ、目の前にでっかいさそり座が!
さそりの尻尾なんていつも山肌にかかっちゃうような高度だけど、水平線まで視界があるから全部見える!
なんか人がいっぱい集まってきた!
やっぱりこの空は天文マニアにとっては垂涎モノだもんね!
「いて座があの辺にあるはずなんですが…」って言ってたら隣にいたおじさんが「あの4つの星がポットの持ち手みたいになって、その右側の少し上に蓋のような形が…」って説明してくれて無事に見えた。
って、同室の天文おじさんじゃないですか。さすがだ。
おじさん、船室から三脚と双眼鏡を持ってきてセッティング。
さそり座の少し左へ向けて、ちゃちゃっと目標を導入。わずか数秒。
「はい。左がM6散開星団。右がM7散開星団」
ちょっと、何その早業! さすが口径38センチを持つ猛者。
他にも星猛者がゴロゴロと居て、プチ観測会は大盛り上がり。
冬にもこんな環境で星を観てみたいなあと思うと同時に、本来ならば今日の昼に冬の星座たちが観られたんだよなと思い出し、残念な思いにも駆られました。
しかし、あの濃い天の川はやっぱり素晴らしい。
今ちょうど「宙のまにまに」ってアニメ(私的に今期一押し)が放送されてるんだけど、美星ちゃんの気持ちが分かるような気がした。
http://www.mmv.co.jp/special/soramani/
その場ではオタ話は自重したけどね。
原作者のカシマミ先生は上海に行っていたらしい。雨で残念。原作の漫画も面白いです(帰ってから買いそろえて読んだ)
夜が更けてきたところで今度こそ撤収。
日食は残念だったけど、星空がものすごく綺麗だったのでまあいいか。
そんな気分の4日目でした。
7月23日
天気、晴れのち曇り
いつの間にか目が覚める。ボケーッとしているうちに下船の時刻が迫ってくる。
夜明けだ
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あんなことがあった翌日にも、太陽は何事もなかったかのように昇る。
船は既に福岡の沖。
携帯の電波が入ったので大相撲の結果をチェックする。全勝だったはずのドルジがいつの間にか3敗していた。
頭でも心でも、ああ帰りたくないずっと船に乗っていたい日常になんか戻りたくないって思ってるのに、携帯の電波が入ったらすぐにあちこちチェックしてしまう。何というか悲しい情報中毒者。
てきぱきと撤収準備をしながら、同室のおじさんに質問。
「リベンジはいつなさるご予定ですか?」
「やっぱりケアンズかねえ」
とのこと。まあ、そうですよね。2010年のイースター島はさすがに厳しい。
今後の主な皆既日食の予定は
・2012年11月13日、オーストラリア北部
皆既帯が通過している部分と陸地が重なっているところが、豪州北東部のツノの部分だけなので、観測地はほとんどケアンズ一択(海で観る人もいるかもしれないけど)
ギリギリ乾期なので大丈夫かなと思う。
・2017年8月21日、全米
アメリカ横断ウルトラ皆既日食。西海岸から東海岸までズドーン。
砂漠気候の部分も通っていると思うので、2012年がアウトだったら行っちゃうかも。
・2035年9月2日、日本
北陸〜関東。
生きてるのか俺…?
同室の若いお兄さんは「2035年までお預けです」って言ってたけど、本当にそれまで待てるのかなあ? 時期が迫ってくると行きたくなっちゃうかもしれないぞー?
私も3年後には必ずケアンズに行こうと心に決めました。
今回の皆既日食は、本当にここ数年の自分にとって生きるモチベーションになっていたのです。くじけそうになっても「いやでも2009年7月22日の皆既日食を観るまでは死ねないしなあ」って思って頑張ってきた。
こんな結果になったから、今度は「2012年11月14日の皆既日食を観るまでは…」にフレーズが変わることになります。
ちなみに…
金環日食だったら、実は2012年5月21日に日本で観られます。
東京が金環帯のど真ん中です。時刻も朝の6時台なので、多くの人が仕事や学校に行く前に悠々と観測できるでしょう。晴れればね。
食分は96%ぐらいあるそうです。細い輪っかになった太陽が観られます。当日は寝過ごすと非常に勿体ないので、みんな気を付けよう。
とはいえまあ、金環食だからねえ。星空もコロナも夕焼けもないから。
でも、太陽の形が変わる様は楽しめるので、こちらも期待しましょう。
そんなわけで下関港に帰還。
日本の検疫は太倉港みたいなバーコード読みとり機じゃなくて、一列に並んでる我々にでかいテレビカメラみたいなものを向けるだけ、というもの。
サーモグラフィーってやつですな。あれで体温計るんだ。機械高そう。
ここで船とお別れ
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素敵な思い出をありがとう。
そして再び税関。書類に記入ミスがあったんだけど、丁寧に教えてくれた。役人のくせになかなかやるじゃん。偉いよ。
通過も何というかユルユルでしたよ? さすがに拳銃とかは反応しそうだけど、麻薬とか偽ブランド品ぐらいなら余裕で持ち込めそうな気配。日本の税関、大丈夫?
ツアーの旅行客が帰ってくるだけだから甘かったのかもしれないけどね。
外人に対してはめっちゃ厳しいのかも。
下関港からは北九州空港までバス…だったんだけど「バスが故障しました。しばらく待ってください」って言われてみんなから苦笑が漏れる。
中国のバスですら故障しなかったのに…
自動車技術で負けてどーする。
数十分後、代替のバスが手配できたみたいで無事に出発。
途中休憩で壇ノ浦PAに立ち寄る。
関門海峡は海の要衝
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カブで来てみたいなあ。
北九州空港はこんなところ
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北九州市の南の端っこですな。
空港で搭乗券をもらって、ツアーはおしまい。あとは飛行機に乗って各々帰るだけ。
最寄駅に着いたのはちょうど午後6時でした。
旅の後遺症が全然抜けず、日常に帰ってきてもボケーッと過ごすことが多かった。
この日記を書き終わってようやく日常に帰れた感じだ。
以上、4泊5日の旅行記でした。
おしまい。
posted by 長谷剛丼 at 07:02| 日記